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蛇紋岩の山 - 早池峰 - の花 ② [山を歩く]

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早池峰山頂を仰ぐ ・・・ 頂上はあと僅か

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高山帯の岩礫の隙間には様々な高山植物が入り込んでいる

ハイマツの途切れた岩場には、黄色の花はマルバキンレイカ、ブルーはハクサンシャジンとミヤマシャジン。その他に、セリ科のミヤマトウキの白い花、ウスユキソウの仲間やネバリノギランなどたくさんの花が咲き誇っている。ここは、高山帯岩礫地であり、岩がゴロゴロしている崩壊地でもある。こんなところのお花畑も、植物相は意外と多彩である。

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イワウメ (イワウメ科)

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北海道と本州中部地方以北の高山帯の岩礫地に生える超小型の低木。葉は常緑で密生し、カーペット状に地面一杯に広がっている。“岩梅”の名前の通り、梅の花に似ている。7月が花の時期とあるので、もう咲き終わっているものとあきらめていたが、小田越に下る途中の岩場に咲いているのを見つけた。葉と不釣り合いな大きさの花に疲れも吹き飛んでしまった。

17イワウメ11.jpg 島状に群生しているイワウメ

褐色に見えるのは咲き終わった花と花柄。びっしりと咲いている花を見たい!!

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高山草原の植相 (画面右下に咲き終わったチングルマ)

旭岳お花畑11-2.jpg 大雪のチングルマ

雪どけとともに開花するチングルマは、雪田の周辺に広がるお花畑に大きな群落をつくる。上の写真は大雪朝日岳山麓の群落。背景に雪渓が広がっていて、ここはまさに雪田の周辺に当たる。早池峰のチングルマも早い時期には一斉に花開く状態が広がっていたのだろう。

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イブキジャコウソウ (シソ科)

海辺から高山まで広い範囲に生育している。“伊吹麝香草”の意味で、伊吹山に多く、全体によい香りがあることから、乾燥したものを薬や香料として利用しているとようだ。

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カトウハコベ (絶滅危惧種 ナデシコ科)

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25カトウハコベ絶15.jpg 高山岩礫地に点在

北海道の夕張岳や本州の早池峰山、至仏山など、高山帯の超塩基性岩の岩礫帯に稀産する。和名と種名(Arenaria katoana)は、発見者の名前からきている。

26コミヤマハンショウヅル11.jpg コミヤマハンショウヅル(キンンポウゲ科)

東北地方の早池峰山や八甲田山、飯豊山などに特産する。花が終わったあとの実の状態。北海道と本州の亜高山帯~高山帯の分布する“ミヤマハンショウヅル”の変種で、ミヤマハンショウヅルが「2回3出複葉」に対してコミヤマハンショウヅルは「3出複葉」。

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サマニヨモギ (キク科)

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左:サマニヨモギの花  右:シロサマニヨモギ(大雪山)

北海道や岩手県の高山帯の乾いた草地や砂礫地に生えていて、“サマニ”は北海道の日高地方の類似町のことを言う。全体に軟毛があるが、生育途中で落ちる。写真右はいつまでも軟毛が密生していることから変種とされている。

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チシマフウロ (フウロウソウ科)

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北海道と東北地方の亜高山帯~高山帯の広葉草原に生育する。この花も大雪山と共通する花の一つ。

33ヨツバシオガマ12.jpg 50エゾシオガマ11.jpg

「ヨツバシオガマ」    「エゾシオガマ」

北海道と本州中部地方以北の亜高山帯~高山帯の広葉草原や風あたりの強い草地にはえるゴマノハグサ科の多年草。このシオガマギク属の仲間は花と葉に特徴があって私の大好きな花だ。

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「ミヤマアズマギク」 (キク科)

北海道と本州中部地方以北の亜高山帯~高山帯の礫の多い草地にはえる多年草で、低山に生えるアズマギクの高山型。全体に軟毛があるが、アズマギクより少ない。残念ながら花の時期は終わっていた。右は咲き残りの花で虫に食べられているが、少し青みがかっているのが気になる。もう少し赤みを帯びているのが本来のミヤマアズマギクだが、最近はどこでも青みが増しているとか・・・?

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「ナンブイヌナズナ」 (絶滅危惧種 アブラナ科)

早池峰山以外では北海道の夕張山地、日高山脈北部で見られる高山帯の超塩基性地岩に生える。日本のアブラナ科の高山植物で黄色い花をつけるのは、本種とミヤマカラシのみという。 6月が見頃で、まだ他の高山植物の花が少ない時期なのでよく目立つだろう。

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「ホソバイワベンケイ」 (ベンケイソウ科) 

38ホソバイワベンケイ11.jpg 雌株は受精後赤くなる

北海道と本州中部地方以北の高山帯の風当たりの強い砂礫地や岩場に群生する、雌雄異種の多年草。花弁は淡黄緑色だが、受精後子房が赤くなるため、この時期によく目立つ。

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「ミヤマアケボノソウ」 (リンドウ科)

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北海道や本州の早池峰山や八が岳、北アルプスや南アルプスの湿った草地などに生育する。黒っぽい青色の花が特徴。

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午後にはガスが上がってくるハイマツ帯 -お花畑が点在-

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「ウラジロハナヒリノキ」 (ツツジ科)

北海道と本州中部地方以北と四国地方の亜高山~高山帯に生える。ハナヒリノキに比べて全体に小さく、葉の裏綿が白っぽい。

44カンチコウゾリナ11.jpg45カンチコウゾリナ12.jpg

「ミヤマコウゾリナ」 (キク科)

本州中部地方以北の亜高山~高山帯に生える多年草。頭花は濃緑色、苞は黒みを帯び、長い毛がある。名前は“深山髪剃菜”の意味。

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「オクトリカブト」 (キンポウゲ科)

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北海道から本州の新潟県にかけての山地の渓流沿いや林の中などの湿った所に生える生育する日本固有種。エゾトリカブトについで、2番目に強い毒性があると言う。

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「キバナノコマノツメ」 (スミレ科)

北海道、本州中部地方以北と四国地方、屋久島の亜高山~高山帯の湿った草地や渓流沿いの岩隙に生える。これに似た種にタカネスミレがあるが、こちらは花の色が濃く、葉に光沢がある。

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「ミヤマヤマブキショウマ」 (早池峰固有種 バラ科)

早池峰山の蛇紋岩地帯に特産する。花は円錐状の花序で。花後の果柄や果実も上を向く。

52コイチヨウラン_1.jpg 「コイチヨウラン」 (ラン科)

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55コイチヨウラン_3.jpg53コイチヨウラン_6.jpg

花      と      葉

“小一葉蘭”と言う意味。北海道、本州中部地方以北、四国の亜高山針葉樹林帯に生える高さ10~20cmの多年草。葉は1個根生する。

56早池峰3-11.jpg57早池峰3-22.jpg58早池峰3-33.jpg59早池峰3-44.jpg

山頂より 南方向の「小田越」と「薬師岳」を眺める


 

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「エゾウメバチソウ」 (ユキノシタ科)

61エゾウメバチソウ11-2.jpg 仮雄蕊

ウメバチソウ属は仮雄蕊(雌蕊の周りにあって、細い指状の突起を何本か伸ばし、先端に球状のものがついている)の形で詳しく分類するという。エゾウメバチソウは仮雄蕊が9~14裂、コウメバチソウは7~9裂。ウメバチソウは15~22裂する。この写真は13に分かれていることから、エゾウメバチソウと言うことになる。

エゾウメバチソウは、北海道と本州中部地方以北の高山帯の湿地や岩隙に生える多年草。ヒメウメバチソウは本州の八幡平や飯豊山、妙高山、白馬山などに生育とあるので、こちらはどこかで見ているに違いない。あとは「ウメバチソウ」を何とか見たいものだ。

ご訪問ありがとうございました

あまりの暑さに耐えきれず、ここでDOWNします

続きます 


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コメント 13

g_g

イワウメ、ミヤマアケボノソウがまだ咲いていたんですね
また行って見たい山が増えました、普段見られ無い花が咲いているところはやはり憧れます。
by g_g (2012-08-23 19:34) 

yakko

こんばんは。
山野草って素敵ですね〜(*^_^*) 山歩きの楽しみですね。
by yakko (2012-08-23 21:39) 

せつこ

おはようございます^^
早池峰山へ行ってこられましたか♪
あそこは良い山ですね、大雨の日登り 登山道は川になりましたが鉄砲水で流されるようなところも無く山頂へ着きました。
エーデルワイスで有名ですね。
by せつこ (2012-08-24 06:31) 

michi

おはようございます。
今朝は久しぶりに早朝の散歩に!(5時頃から1時間)汗びっしょりになって帰ってきました。散歩道のサフィニアやオシロイバナは水をもらっているところは勢いを出してきましたが、その外は日照り続きので、中かなりしおれていました。

ご訪問 & ご訪問ありがとうございます。
g_gさん:山は大変疲れますが、癒やされますね。それに、珍しい高山植物との初めての出会いなどもありますから。

yakkoさん:山歩きには、じっくりと時間をかけて歩くようにしています。また、いつこの地を訪れることができるかわからなくなってきているので、なおさらです。

せつこさん:早池峰は岩がゴロゴロしているので、大雨の日は大変でしたでしょうね。今回に時期は季節的にもよかったですね。

ご訪問ありがとうございます。
シラネアオイさん

by michi (2012-08-24 08:52) 

mimimomo

こんにちは^^
まだ見たことのないお花、名も知らないお花、色々有りますね
このようなお花畑、じっくり撮影したいです。個人で行くしかないでしょうね~
by mimimomo (2012-08-24 12:42) 

michi

mimimomoさん:こんにちは。外はむっとする暑さです。
最近の登山は、どうしても「散策」と言うことになります。好きな花たちを撮りながら、じっくりと時間をかけて上ります。大勢のグループでは無理かもしれませんね。
by michi (2012-08-24 16:29) 

OJJ

高山植物?をこれだけ見せて頂いたら、花の名前は知らなくても何回か見たことの有る花には親しみを感じますね。
今となっては6月の利尻礼文をハイキングとして通過したことを後悔・・
by OJJ (2012-08-24 18:02) 

satton

北海道の横津岳でウメバチソウを撮った記録も見たら9月11日でした。高山といえども本州は早いですね。
by satton (2012-08-24 20:12) 

いろは

こんばんは^^
初めて見るお花が沢山あって...とても楽しませて頂きました!
やはり歩いて実物を見たいですね〜 でももう無理でしょう(^^;
ミヤマアケボノソウ、実は園芸店で見たことがあります。
それは不思議な魅力のあるお花でした。
ウメバチソウが綺麗ですね〜♪ 種類も色々あるのですね^^

by いろは (2012-08-24 21:29) 

夏炉冬扇

こんばんは。
エゾウメバチソウ、印象的な花です。
健脚にパチパチパチ。
by 夏炉冬扇 (2012-08-24 21:48) 

ふーみん

エゾウメバチソウ は複雑な構造してますね。
アップの写真素敵です。
by ふーみん (2012-08-24 22:54) 

Baldhead1010

高山のお花はどれも色が鮮やかですね。

9月に入るとお山も急に秋がやってくることでしょう。
by Baldhead1010 (2012-08-25 09:50) 

michi

こんにちは。

ご訪問 & コメントありがとうございます。
OJJさん:利尻・レブンはあこがれの地なんですが、なかなか行けなくて。でも、なんとか行こうと思っています。(行きたいところばかりですね)

sattonさん:ウメバチソウの花を詳しく見たのは初めてなんです。いつもは「あっ、ウメバチソウ」で終わりなんです。師に、「識別のために、ここを見なさい」と言われて、始めて気がつきました。

いろはさん:もう無理と言わずに近くの山で、できるだけ歩く距離の短い所を狙ってみては?高いところでなくとも楽しめますね。

夏炉冬扇さん:健脚と思っていたんですが、さすがに今年はこたえました。足腰は確実に弱っています。まだまだ行きたいところがあるのに、・・・・。

ふーみんさん:ウメバチソウのUPは偶然に良くて撮れていました。

Baldhead1010さん:秋が近づいてきていますね。紅葉に山にもあこがれていります。

ご訪問ありがとうございます。
グリーンさん

きゅーさん


by michi (2012-08-25 11:28) 

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