五頭連峰 春の訪れ
五頭連峰は新潟の東縁部に位置する、標高1,000をすこしきる山の連なり。ほぼ中央に位置するのが「五頭山」(912m)。その南西には「菱ヶ岳」(974m)、北東には「松平山」(954m)がある。峰が五つあることから五頭山と名づけられたという。
4月15日 久しぶりの好天気 陽気に誘われて、山を見に行くことにした。五頭山は私のところから、車で1時間でいける。この山は、登山や山菜採り、山野草撮りに時々訪れている、いわば私のホームグラウンド。近づくにつれ、山頂付近ばかりではなく、中腹まで真っ白。
山裾も雪に覆われている
山腹ばかりではなく、裾野も雪。崖には流れ落ちる沢の水。でも、所々に地肌がのぞいている。気の早い山菜や山野草は、待ちきれずに芽を出しているに違いない。山裾でも、雪が早くに消えたところなら、そんな山野草に出会えるだろう。それが今日の楽しみなのだ。
まずは 山菜
フキノトウ
アザミ と ミツバ
フキノトウは、雪どけ直後のためまだ黄色い。これが美味しい。アザミはこの大きさが、ミツバも黄緑色のこの時期が一番の食べ頃だ。今日は、天ぷらや炒め物にしていただこう!!
そして 川沿いの 山野草
雪どけの早い、川沿いに歩く
川沿いは、雪どけで急流になっている。川底に向かう崖の急斜面は、雪のためにかなり崩れていて地肌が出ている。それでも、所々にショウジョウバカマが張り付いている。花を見るとほっとする。
ネコノメソウ
山地の湿地に群落を作って生える多年草。花茎の先端近くの葉が淡黄緑色になる。花弁はなく、4 枚の萼片のみで、開いた果実が猫の目のように見えることからこの名がついたという。
ネコヤナギ と キブシ
銀白色の毛の花穂が特徴的な「ネコヤナギ」の名は、この花穂をネコの尾に見立てたことによる。川沿いの土手など、湿り気がある場所に自生する落葉性の樹木。今日の暖かい陽ざしを浴びて、目立つ猫のしっぽが「春を告げ」ている。
キブシは海岸から内陸の川沿いまで広く分布している。名前は、果実を染料の原料である五倍子(ふし)の代用として使ったことからと言われている。私は、この名より、子どもの頃より慣れ親しんできた「狐のかんざし」という名のほうが好きだ。
これからが 今日の お目当て
コシノコバイモ
高さが10cmにも満たない、クロユリに近縁の百合。葉の陰にひっそりと釣り鐘型の花をつける。目立たない花だ。まだ消え残っている雪のすぐそばから開花が始まっていた。まさに、「スプリング・エフェメラル」である。新潟県~福井県などの日本海側と長野県や岐阜県、愛知県、静岡県に分布しているとされている。
キクザキイチリンソウ
この山裾はイチリンソウの宝庫 色の変化がおもしろい
白花と青花の混じった群生地
がく片(花弁にみえるもの)の数も異なる
春真っ先に花を咲かせ、落葉広葉樹の葉が広がる頃には地上部は枯れてしまう。その後は翌春まで地中の地下茎で過ごす。これも「スプリング・エフェメラル」-春のはかない植物-なのだ。しかし、やはり 「春の妖精」 と言うべきかもしれない。
五頭山
標高912mの、「五つのつむり(頭)」山は、その山体がほとんど御影石(花崗岩)でできていえる。ところがその山頂付近からは、メタセコイアやブナの昔のタイプの植物化石が見つかっている。そして、中腹付近では石炭がでている。これらの化石を含む堆積岩の分布は多くはない。地下深いところに誕生した花崗岩体が、隆起するときに一緒に高いところへ持ち上げたのだろう。
山裾の散策をしながら、五頭の生い立ちにも思いを馳せてみた。
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