SSブログ

ピレネーを歩く~その3~ [旅の思い出]




☆☆☆☆☆☆☆ オルデサ国立公園 トレッキング ☆☆☆☆☆☆☆


11-1オルデサ.jpg
トレッキング3日目(7月3日) ・・・オルデサ国立公園 "コラ・デ・カバージョ滝" を目指す


⑦ オルデサ国立公園

今回のツアーの最大の楽しみ。標高差約500m、歩行距離約17kmのトレッキング。グランドキャニオンのような絶壁の続く渓谷 ~ 氷河の流れ下った跡 ~ の中を約7時間ほどのコースタイムで往復する。目的地は谷の終点、標高1,770mの “コラ・デ・カバージョ滝”。

宜しかったら、続きをご覧ください。
~~~ 画像が多くなってしまいましたが、素晴らしい景色だけをご覧ください ~~~
 

12-1オルデサMap.jpg

現地の案内看板から (日本語と矢印を加筆)

ガリネロ山・トバコール山の麓を流れ下るアラサス川を上流に向かって歩き、途中で滝をいくつか見ながら渓谷の奥にあるコラ・デ・カバージョ滝まで迫る。スタート地点の標高は1,230mで、暫くは深い森(ブナ林、そして次第に松が優先してくる)が続く。上り坂が終わりソワッソ滝を越えると草原地帯に出る。渓谷の奥にはピレネーの最高峰3番目のペルデイト山(3,355m)の姿が見えてくるという。




12-7オルデサ2.jpg

スタート地点付近はブナ林の中

深いブナの森が強い陽射しを遮り、澄んだアラサス川の運んでくる冷気に囲まれ、とても気持ちのいいスタートとなった。頭上遥か上の方には、ガリネロ山・トバコール山の頂が見え隠れしている。暫くは森林の中を進む。




13-1ムラサキ科Echium vulgare.jpg13-2ムラサキ科Echium vulgare.jpg

ムラサキ科  エキウム・ブルガレ ~Echium vulgare

フランス語名「Viperine vulgaire」。花冠が「vipere(マムシ)」が口を開いているように見えるからとガイドが説明。青紫色の花はハーブとしても利用され、サラダの彩りや砂糖漬けなどに用いられという。




***** ラン科の花 *****

14-3Orchis militaris.jpg 14-1ラン科sp.jpg14-4ラン科sp.jpg

ハクサンチドリの仲間 Orchis militaris~    右2枚は種名・・・?





左:ラン科~種名?~   右:ユリ科 パラダイスリリー




15-1オルデサ.jpg

鬱蒼としたブナ林(おそらくヨーロッパブナ)を進む

出発してから約2時間弱。スタートは大変ゆっくりと進む。ときおりガイドの説明があるが、私は更にゆっくりと写真を撮りながら歩くので、説明には間に合わない(いつものことだが、気にしないで景色を楽しむ)。




16-2タマシャジン属hemisphaericum1.jpg16-2タマシャジン属hemisphaericum2.jpg

キキョウ科 タマシャジン属  ヘミスファエリクム ~Phyteuma hemisphaericum

ドロミテでは “魔女の爪” と言うニックネームで紹介されたが、こちら(スペイン・フランス)ではこの名を聞かなかった。




16-3Saxifraga longifolia.jpg

ユキノシタ科  サキシフラガ・ロンギフォーリア ~Saxifraga longifolia

ピレネー固有種で、“王冠” と言うニックネームがある。日当たりのよい石灰岩の割れ目を好む。大きな花茎になると100以上花を付けるものもあるというが、残念ながら咲いてはいなかった。花を咲かせた後は枯れてしまう。

 



16-4セリ科Astrantia major1.jpg16-4セリ科Astrantia major2.jpg

セリ科  アストランティア・マヨール ~Astrantia major

属名の“Astrantia” は「星・天体」と言う意味で、花冠の形から付けられたようだ。アストランティア属はヨーロッパ・アジアに4~5種分布しているだけだというが、仲間は園芸種として出回っていて、ふんわりとした雰囲気からナチュラルガーデンやフラワーアレンジなどに使われているという。




16-5ムシトリスミレ属 longifolia2.jpg

タヌキモ科 ムシトリスミレ属  ロンギフォリア ~Pinguicula longifolia

ピレネーはアルカリ土質で窒素分が少ない。食虫即物のムシトリスミレは動物から窒素分などの栄養を撮っているのだろう。




16-7ピレネーイワタバコ.jpg

イワタバコ科 オニイワタバコ属  オニイワタバコ  ~ピレネーイワタバコ~

 


16-8ピレネーイワタバコ.jpg

ピレネーイワタバコは氷河期を生き抜いた植物でピレネー固有種。オルデサやガバルニーなど、石灰岩の岩場の日陰を好んで生育している。スペインでは “Oreja de Oso(熊の耳)” と呼ばれているという。





17-1オルデサ.jpg

森林地帯が終わり、岸壁が見えるようになってきた(ソワッソ滝の直前)




17-2ソワッソ滝.jpg

何段にも重なった滝 ~ ソワッソ滝 ~

どうやら、ここが森林(おそらくヨーロッパアカマツやモミの仲間)と草原の移り変わる場所のようだ。





18-3リンドウ属lutea_07.jpg18-3リンドウ属lutea_06.jpg

リンドウ科 リンドウ属  ルテア ~Gentiana lutea

ソワッソ滝の淵の黄色い花のリンドウ。根の部分が医薬品や化粧品・香料などに使われているという。




20-1オルデサ.jpg

森林限界を過ぎて草原の入口に

渓谷の両側には高い岩壁が続き、奥に雪をいただいたピレネー第3の山 ~ペルデート山(標高3,355m)~が見えてきた。右から陽射しが当たり、左の壁は黄色の花が輝く。


ここは世界遺産氷河の浸食を長い間受けて現在の自然を作りだした “自然遺産の顔” と、放牧生活を独自の知恵で続けている “文化遺産の顔” の両方を持ち合わせた特殊な場所。




20-2オルデサ.jpg

左側の岩山 & 草原




20-3オルデサ.jpg

右側の 岩山 & 森林限界付近・・・・・逆光でうまく撮れない




20-4オルデサ.jpg

真っ正面に迫るペルデート山 ・・・ 石灰岩質の岩山なのだろうか




22-3タカネシオガマ.jpg

ゴマノハグサ科 シオガマギク属  タカネシオガマ




22-3ピレネーハンニチバナ.jpg

ハンニチバナ科 ハンニチバナの仲間

ピンクの花が珍しかった。黄花のハンニチバナ~Helianthemum nummularium~の亜種のようだ。




22-5イヌバラ.jpg

バラ科 イヌバラ  Rosa canina



22-6イヌバラ2.jpg 22-6イヌバラ3.jpg

「アルプスのバラ」と呼ばれている深紅の花弁のバラRosa alpina と違って、淡いピンクの花弁の元の方が白く、先端が曲がっているのが特徴らしい。




22-8ゴマノハグサ科キンギョソウ属sp1.jpg 22-8ゴマノハグサ科キンギョソウ属sp2.jpg

 ゴマノハグサ科 キンギョソウ属  マユス  ~Antirrhinum majus

園芸店でいろんな品種の “金魚草” を見るが、この花をもとにした園芸品種かもしれない。



25-1オルデサ.jpg

オルデサ国立公園のU字谷の先 ・・・ コラ・デ・カバージョ滝を目指す

ピレネーの中心にあるオルデサ国立公園は、迫るU字谷・V字谷の絶壁と草原が魅力。U字谷の底から世界遺産 ~ペルデイド山~ の壮大な勇姿を見上げることができる。



25-2オルデサ.jpg

 ~黄色の絨毯~ が広がる

谷底から続く斜面に広がる黄色の絨毯はマメ科植物の “エリソン”。この花は7月になると黄色の花が咲くという。フランス側のピレネーでは見られなかった素晴らしい光景がここに広がっている。



26-1ピレネーエリソン.jpg

マメ科  エリソン  Echinospartum barnadesii

マメ科植物エリソンは、養分のない岩肌に最初にとりつく。窒素分を地下に蓄え肥沃な土壌ができると、次第にいろんな植物が生育してくる。エリソンは岩場 “先駆者” なのだという。



26-2ピレネーエリソン.jpg

“エリソン” は、スペイン語でハリネズミのことを言う。この木にトゲトゲがあって似ていることから、この名付いたとのこと。触るととても痛い。ホントに痛くて、とてこの絨毯の上では横になることができない。



31-3カバージョ滝.jpg

黄色の絨毯~エリソン~ と コラ・デ・カバージョ

画面左端方向から、ほぼフラットな草原を右端の滝へと進んできた。滝の姿をやっと捉えることができた。大勢のハイカー達が水辺に集まっているのが見える。

真っ青な空と黄色の斜面、大草原、そして流れ下る滝、・・・・・見渡す限り 大自然が広がる。



31-5カバージョ滝.jpg

コラ・デ・カバージョ滝



31-7カバージョ滝.jpg

“馬のしっぽ” と呼ばれる滝

岩山の壁に囲まれた大草原の真ん中を一本道が続いる。その最も奥にコラ・デ・カバージョ滝がある。馬の尻尾に見える滝は、ここまで来た人にとって別天地のようなところだ。




オルデサ公園のトレッキングはここが終点。

ここより、(一部往路とは異なるコースを通り)スタート地点へ折り返す。


往路では見なかった滝をいくつか通る

40-1オルデサ8.jpg

エストレッチョ滝



40-3オルデサ.jpg

この滝は・・・?





43-1オルデサ.jpg

トレッキング終点近く ~アラサス川の橋を渡る~

終点まではあと僅か。後方は“サラロス山(2,748m)“。上流(右奥)から下りてきた。





99オルデサ.jpg

オルデサ渓谷の最深部 ~ソアソ圏谷斜面の黄色の絨毯~



約8時間のトレッキングが終わる。今日も素晴らしい自然を堪能できました。

次回 ~ピレネーを歩く~その4  へ続きます。

  

ご訪問ありがとうございました。


タグ:2907
nice!(28)  コメント(14)  トラックバック(0) 

nice! 28

コメント 14

ひぐらし

さすがにスケールが違いますね~
写真でも雄大さが伝わって来ますよ^^
by ひぐらし (2017-07-19 08:20) 

よしころん

素敵です~♪
ピレネーの爽やかな空気が画面越しに伝わってきますヽ(^o^)丿

ムシトリスミレやイワタバコみたいと思っていたら、やはり同じ仲間だったのですね^^
by よしころん (2017-07-19 09:24) 

michi

おはようございます。大変な豪雨でしたね。我が家の畑は冠水を免れましたが、皆様のところはどうでしたでしょうか。

ひぐらしさん:どのコースも、進むにつれてスケールの大きさがぐーんと高まっていきます。やはりピレネーですね。

よしころんさん:暑い陽射しも、乾燥した大地に吸い込まれてしまうのか、爽やかさが勝りますね。ムシトリスミレもイワタバコも日本のものを見ているので、ここにあったと直ぐに見つけられました。

ご訪問ありがとうございます。
@ミックさん

tochiさん

鉄腕原子さん

さとしさん

by michi (2017-07-19 09:35) 

旅爺さん

日本と違って雄大な山々や渓谷に滝などスケールが大きいので楽しみ甲斐があったでしょう。
by 旅爺さん (2017-07-19 10:19) 

michi

日本の山々も個性があっていいでしょうが、雄大さは違うのかもしれません。団体ツアーですので、大変なところへはいきませんので、美味しいところだけ歩いています。
by michi (2017-07-19 10:25) 

mimimomo

こんにちは^^
素敵なハイキング~うきうき^^ 結構長い道のりですね。それだけ植物も豊富だし景色も良いわ。
標高が高いとはいえ南国だからかな~オーストリア辺りの植生とはかなり違った感じがします。
by mimimomo (2017-07-19 11:56) 

侘び助

先日の遍路で久し振りに13000歩・・・
転倒後の歩きは少し辛くて大変でした・・・が行くしかないです。
(次回までには良くなっているでしょう^^)
by 侘び助 (2017-07-19 13:21) 

いろは

こんにちは^^
雄大な景色を眺めながらのトレッキング、素晴らしかったことでしょう〜珍しいお花も沢山ありますね。
アストランティアは先日の蓼科ガーデンで見られました。可愛いお花ですね♪ ピレネーイワタバコ、外国にもイワタバコがあるなんて初めて知りました^^葉が分厚いようですね。
それぞれの滝も素敵ですね!
by いろは (2017-07-19 15:20) 

Mitch

標高差500メートル、歩程17キロ、そこそこ負荷のかかる行程ですが、雄大な景観、さまざまのきれいな花、疲れを感じている余裕がなさそう^^
by Mitch (2017-07-19 17:48) 

g_g

日本と似たような花、そして全く初めて見る花、興味津々です。
それに加え、飽きることのない景観が最高です。
by g_g (2017-07-19 19:11) 

夏炉冬扇

猛暑の地上とは別世界です。
by 夏炉冬扇 (2017-07-19 21:31) 

Baldhead1010

ブナ林の中の散策もいいですが、やはり開けて景色のよく見える場所は足の運びも違いますね^^

でも、かなりの距離のようで、心臓に悪そうです^^;
by Baldhead1010 (2017-07-20 05:31) 

旅爺さん

今日も暑くなって来ましたね。日焼けにも注意ですね。
家でのんびり過ごしてるとピレネーの山々を思い出して恋しくなるでしょうね。
by 旅爺さん (2017-07-22 13:02) 

michi

皆様ご訪問 & コメントありがとうございます。
“ピレネーを歩く~その3~”をUPしたあと、急遽群馬県の草津白根山~野反湖に出かけました。野反湖のキスゲが満開との情報をいただいて我慢できずに行ってしまいました。途中草津白根山の湯釜を覗きました。

ちょっと疲れ(湯疲れ?)が出てしまいました。皆様のところへの訪問、もう少し遅れます。
by michi (2017-07-23 16:20) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。